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HHKBパームレストおすすめ|必要性と高さ・素材の選び方を比較

タイピングを終えて手を離したとき、手首の付け根だけが妙に重たく残っていることはないだろうか?

HHKBのパームレストが必要かどうかは、突き詰めればこの一点で決まると思っている。

先に結論を置いておこう。

パームレストはHHKBユーザー全員に必須の道具ではない。ただし手首が宙に浮いたまま打っている自覚があるなら、本体との段差を埋める高さの一枚を挟む価値は十分にある。

私も道具の高さや硬さで痛い目を見た口だ。かつて東プレのREALFORCEを日本語配列で使っていた頃、あの底付きの硬さが指に響いて、長時間打っていると第一関節がじわじわ痛くなってきた。

キーボードは指先だけの道具ではない。手首から先の姿勢まで巻き込んで、日々の疲労をじわじわ左右してくる代物なのだ。

今回は、手首が浮く原因の切り分けから、高さと素材の選び方、そして現行で買える専用設計の製品まで、順を追って語らせていただきたい。

この記事のポイント
  • パームレストが要る人と要らない人の線引き
  • HHKB前面と揃える高さの目安
  • 木・革・シリコンの使い分け
  • 現行で買える専用設計モデル

HHKBにパームレストは必要なのか

まずは「そもそも要るのか」という一番の疑問から片づけていこう。

この問いに一言で答えるなら、こうなる。

HHKBのパームレストは全員に必要な道具ではないが、キートップ上面まで40mmある本体の高さで手首が浮くなら、その段差を埋める製品が有効だ。

要不要が割れるのは、使う人の打ち方と体格、そして机まわりの状態がバラバラだからである。順に切り分けていこう。

手首が浮くのは本体の高さのせい

手首の負担の正体は、キーボードと机の間にできた高低差にある。

HHKB Professional HYBRID Type-Sの公表寸法は、幅294×奥行120×高さ40mm(キートップ上面まで)。厚さ2cmにも満たない薄型キーボードに慣れた手からすれば、これは相当な段差だ。

【出典】PFUダイレクト『HHKB Professional HYBRID Type-S 英語配列/白』製品仕様

この厚みは、手抜きの結果ではない。押下圧45gで3.8mmのストロークを持つ静電容量無接点方式、つまり接点を持たずに深く沈むキー構造を成立させるために必要な体積なのだ。

あの気持ちのいい打鍵感と本体の高さは、切り離せない関係にある。

段差があると、手のひらの置き場がなくなる。行き場を失った手首はデスクから浮き、その状態を保つために前腕がずっと力み続けることになる。

1時間や2時間なら、たいていの人は気づかない。それが1日に何千字も打つ日々になると、話が変わってくる。

HHKB Professional HYBRID Type-Sを右側面から撮影し、くさび形のプロファイルとキーの段差がわかるカット
横から見ると、手前から奥に向かって持ち上がるくさび形。この厚みが打鍵感を支えている反面、手首の置き場を奪ってもいる。

厄介なのは、この負担が打っている最中にはあまり自覚できないことだ。作業を終えて手を離した瞬間に、じんわりと重さが戻ってくる。

心当たりがあるなら、貴兄の手首は間違いなく浮いている。

使わないほうが速く打てる人もいる

一方で、パームレストを置かないほうが手が動く人もいる。ここを無視して「HHKBには必須」と言い切る記事が多すぎると感じている。

分かれ目は打ち方だ。

指を持ち上げて叩き下ろすタイプなら、手のひらを預ける台があったほうが安定する。逆に、指をキーの上に置いたまま滑らせるように押し込むタイプは、手首の高さがキーに近いほうが打ちやすい。

私の場合はもう一つ事情がある。左手の小指の付け根でFnキーを打鍵する、いわゆる付け根押しを愛用しているからだ。

この打ち方は、キートップと机面に高低差があってはじめて成立する。手のひらを完全に預けてしまうと、付け根が下がってFnキーに届かなくなってしまうのだ。

付け根押しという厄介な癖

この打ち方を覚えてしまうと、パームレスト選びの基準が一般論とまるで変わってくる。手のひらを乗せきる高さではなく、手首の逃げ場を確保しつつ支えだけ借りる低めの高さが欲しくなるからだ。

HHKB Studioで小指の付け根が使いにくくなったとき、私は自分がどれだけこの癖に依存していたかを思い知らされた。多数派の打ち方ではないと承知のうえで、それでも手放せずにいる。

英語配列のHHKBをなぜ選んだのかという話は、HHKBを動画編集者目線で掘り下げたレビュー記事で語らせていただいた。打ち方の前提が違えば、周辺アイテムの答えも変わってくるという話でもある。

まず机と椅子の高さを疑ってみる

パームレストを買う前に、確認してほしいことがひとつある。

机と椅子の高さだ。

肘が肩より下がりすぎていたり、逆に机が高くて肩がすくんでいたりすると、手首の角度は何を敷いても整わない。土台が傾いた家に、立派な柱を1本足すようなものである。

目安として、椅子に座ったとき肘がだいたい直角になり、前腕と手の甲がゆるやかに一直線になる位置を探してみていただきたい。ここが合っていないうちにパームレストを買うと、原因を取り違えたまま散財することになる。

一枚板デスクにEIZOの3画面モニターとHHKB、トラックボールを配置したデスク環境の全景
キーボードの手前にどれだけ余白を残せるかで、置けるパームレストの奥行きが決まってくる。

もうひとつ試す価値があるのが、本体の傾き調整だ。
HHKBには3段階のチルト機能が備わっている。角度を一番寝かせた状態にするだけで、手首の反り返りが軽くなる場合もある。

逆に、角度を立てるほど手首は反り返る。私はキー配列の視認性より打ちやすさを優先しているので、傾きは寝かせ気味で落ち着いた。ここは好みが分かれるところなので、1日ずつ試して体で決めていただきたい。

もうひとつ、キーボードの位置そのものも見直す価値がある。
手前に寄せすぎると手首が机の縁に乗り、そこが支点になって角がぐいぐい当たる。奥へ5cmずらすだけで、前腕全体を天板に預けられるようになることも珍しくない。

それでも浮いた感じが消えないときに、はじめてパームレストの出番になる。

選ぶ基準は段差と素材と形状

必要だと判断できたら、次は選び方だ。パームレストは価格差こそ小さいが、合わないものを買うと本当に使わなくなる。

見るべき軸は3つ。
高さ、素材、そして形状である。

HHKB前面との段差をなくす高さ

最優先で見るべきは高さだ。理想は、HHKB本体の手前側の高さとパームレストの上面がほぼ揃い、手のひらから指先までが段差なくつながる状態である。

専用設計品の実寸を見ると、この狙いどころがよく分かる。HHKB Professionalシリーズ用のウッドパームレストは本体13.5mmで、付属のゴム脚を履かせると15.5mmまたは17.5mmになる。

【出典】PFUダイレクト『ウッドパームレスト(ウォールナット)』製品仕様

つまり15mmから18mm前後が、HHKBに対する現実的な着地点ということになる。汎用品を選ぶ場合も、この帯から大きく外れないものを探すと失敗しにくい。

デスクを真横から撮影し、HHKB Professional HYBRID Type-SとKeychron Q1、MX Keys S for Macの厚みを比較したカット
左端の白いHHKBと右端の薄型キーボードでは、手首に要求される高さがまるで違う。パームレストの要不要も当然そこで分かれる。

高さの許容範囲は、手の厚みによっても変わってくる。だからこそ、ゴム脚で微調整できる製品は保険として優秀だ。買ってから数mm合わなかったときに対策ができる。

迷ったら低めから始める

高さで迷ったら、まず低いほうを試すのが安全だと思う。低すぎる場合は薄いフェルトやコルクを1枚挟めば足せるが、高すぎる場合は削るしかない。

特に手が小さめの方は、手のひらを持ち上げられすぎると指先が上から降りる格好になり、かえって打ちにくくなる。上げるより下げるほうが難しい、と覚えておくと選びやすい。

木とシリコンで変わる硬さと手触り

次に素材だが、これは「手首を固定したいか、沈ませたいか」で選ぶと分かりやすい。

木製は硬く、手首の高さが動かない。
長時間タイピングしても位置が狂わないので、文字入力を主体にする人と相性がいい。重量のある無垢材なら、デスク上でずれにくいという実利もある。

反面、木は生き物だ。湿度や温度で反りや変形が出ることは、メーカー自身が注意書きとして明記している。合板を使ったプライウッド製は、この点で有利だと言える。

革張りタイプは、木の芯にオイルレザーを貼ったもの。
硬さを残しつつ手触りが柔らかく、経年変化を楽しめる。ただし擦れが進むと表面が痛んでくるので、育てる覚悟が要る素材でもある。

シリコン製は、この中で唯一わずかに沈む。
汗をかいてもベタつきにくく、汚れたら拭けるという扱いやすさは、夏場に効いてくる。手のひらの当たりが柔らかいぶん、硬い板に手を置く感触が苦手な人にも向いている。

ここで思い出してほしいのが、キーボード側の素材との相性だ。
表面がテカりやすい素材のキーボードを使っていた頃、私は使用後に毎回アルコールシートで拭くという面倒な作業に付き合わされていた。手のひらが常に触れるパームレストは、それ以上に皮脂が乗る場所である。

木製はアルコール系のクリーナーで塗装が傷む製品もあるため、手汗が多い自覚があるなら、拭き取りやすさを優先するのも立派な判断だと思う。

私はキートップの触り心地に妙なこだわりがあって、HHKB Professional HYBRID Type-Sの、ツルツルしすぎない適度なザラつきに温かみを感じている口だ。

手を置く道具の表面は、性能と同じくらい気分に効くものだ。

一体型とセパレート型はどちらが合うか

形状は、横長の一体型と、左右に分かれたセパレート型の二択になる。

安定感で選ぶなら一体型だ。重さがあり接地面も広いので、体重をかけても傾かない。自宅でどっしり構えて長文を書くなら、こちらが素直な選択になる。

一方セパレート型は、置き場所の自由度が武器になる。左右の間隔を手の幅に合わせられるし、中央にトラックパッドや小型デバイスを置くこともできる。

私は普段トラックボールを使うので、キーボード手前の余白は死活問題だ。かつてテンキー付きの横長キーボードを使っていた頃、その分だけマウスの位置が異様に遠くなり、これは大きなマイナス点だと感じていた。

パームレストも同じで、横幅と奥行きを取るほど右手の道具が遠ざかっていく。

この感覚については、薄型キーボードを動画編集者目線で評価した記事でも触れている。手元の面積は、思っている以上に有限なのだ。

現行で買えるHHKB向けの5製品

ここからは、具体的な製品を見ていこう。

今回はHHKBを販売するPFUの直販サイトで、執筆時点で現行品として扱われているものに絞った。専用設計であればサイズと高さで悩まなくて済む、という単純な理由からだ。

まずは全体像を並べておく。価格は執筆時点の税込目安であり、最新の価格や在庫は公式サイトでご確認いただきたい。

商品名 メーカー型番 サイズ(高さ) 素材 価格目安
ウッドパームレスト(ウォールナット) WP-HHK2WN W290×D80×H13.5mm(ゴム脚で15.5/17.5mm) 天然木(無垢材) 5,280円
タイピングベッド(クリアー) PW-HHC-0 W290×D80×H15mm(ゴム脚で17/19mm) プライウッド 4,950円
シリコンタイピングベッド(ブラック) SL-HHB W293×D85×H17mm シリコン 4,400円
セパレート型シリコンタイピングベッド(ブラック) SL-97B W97.5×D85×H17mm シリコン 2,640円(1個)
HHKB Studio専用 タイピングベッド(チョコレート) PW-HHT-3 W302×D80×H9mm(ラバーソール装着で10.5mm) プライウッド 4,950円

定番の無垢材ウッドパームレスト

王道から挙げるなら、バード電子が手がける無垢材のウッドパームレストだ。HHKB Professionalシリーズ専用として設計されている。

幅290mmはHHKB本体の幅294mmとほぼ同じで、並べたときに横幅がぴたりと収まる。奥行きは80mmあり、手のひらを面で預けられる余裕がある。

高さは本体13.5mmに対し、付属のゴム脚を選ぶことで15.5mmと17.5mmに変えられる。手の厚みに個人差があることを前提にした設計で、前述した「段差を消す」調整がここで効いてくる。

約250gという重さも見どころだ。木の板は軽いと打鍵の反動でじりじり動くが、この重量があれば置いただけで動かない。

滑り止めのゴム脚には天板に跡が残りにくい素材が使われている点も、天然木の一枚板を使っている身としてはありがたい配慮に思える。

仕上げには植物性のオスモオイルが使われており、生産国は日本。長く使って汚れや変色が出ても、家庭でオイルを塗り直せるという案内がメーカーから出ている。

使い捨ての周辺機器が多いなかで、手を入れながら使い続けられる道具というのは、それだけで気分がいい。

向いているのは、手首の高さを固定して長文を打ちたい人。
逆に、湿度で反りが出る可能性を許容できない人や、手汗が多い季節に木肌が気になる人には、後述のシリコン製のほうが気楽だろう。

なお、同じ無垢材の系統には指板にイタリア製のオイルレザーを張った上位モデルもある。価格は跳ね上がるが、革ならではの経年変化を楽しみたい向きには選択肢に入ってくる。

反りに強いプライウッドの一枚

木の質感は欲しいが、反りが気になる。
そんな人に用意されているのがタイピングベッドと名付けられたプライウッド製だ。

プライウッドとは、薄くスライスした板を積み重ねて接着した合板のこと。無垢材に比べて湿度や気温の変化に強く、変形が生じにくいとメーカーは説明している。水平が保たれることは、手首を置く台としては地味に重要な性能だ。

サイズは幅290×奥行80mmで、無垢材モデルと同じ考え方。高さは本体15mmで、ゴム脚を選ぶと17mmまたは19mmになる。無垢材よりわずかに高い帯なので、手が厚めの人はこちらのほうが合う可能性がある。

色はクリアーとチョコレートが用意されており、白いHHKBに合わせるならクリアー、墨のHHKBならチョコレートという選び方ができる。

中央にふせんを収められる変わり種もあり、この遊び心はいかにもHHKB界隈らしい。

価格も5千円を切る水準で、木製の入口としては手を出しやすい。日本の四季でデスク環境が変わりやすい住まいなら、素直にこちらを選んでおくのが無難だと思う。

重量は200gから230g程度と、無垢材モデルよりわずかに軽い。それでも板が動くほどではないが、勢いよく手を打ち下ろす癖がある人は、より重い無垢材のほうが落ち着くかもしれない。

向かないのは、木目の表情や無垢材の重みそのものに価値を感じる人だ。実用と安定を取るか、素材の色気を取るか。ここは性能ではなく好みの話になる。

シリコン製は一体型と分離型がある

木以外の選択肢として近年加わったのが、シリコン素材のタイピングベッドだ。
硬い板とは狙いがはっきり違う。

一体型のシリコンタイピングベッドは、幅293×奥行85×高さ17mm。柔らかい素材が衝撃を吸収し、手首を支えるという設計で、表面はUVコーティング仕上げになっている。汚れが付きにくく手入れが簡単という点は、木製にはない実利だ。

裏面には鱗格子と呼ばれる伝統文様が配され、これが滑り止めを兼ねている。柄を機能に落とし込む発想は、日本のメーカーらしい仕事だと感じる。

そしてもうひとつが、左右に分けて使えるセパレート型だ。
1個あたり幅97.5×奥行85×高さ17mmで、単品売りとなっている。

左右を離して置けば中央にスペースが生まれ、トラックパッドのような小型デバイスを挟み込める。
ノートPCのキーボードの上にHHKBを載せる、いわゆる尊師スタイルでもタッチパッドに干渉しないという。

使い方によっては1個だけ買ってマウス側のリストレストにする、という手も残されている。

1個120gと軽いので、鞄に放り込んで持ち出しやすいのも利点だ。据え置きの一体型と、外出用のセパレート型を使い分けるという発想もできる。

一方で、左右が独立しているぶん、手前の端に体重をかけると傾きやすいという弱点は覚えておきたい。がっしり寄りかかって打つ人ほど、一体型の安定感が効いてくる。

両手を均等に預けたいなら一体型、配置の自由度を取るならセパレート型。ここは作業内容で決めるのが早い。

Studioには専用設計を選ぶ

HHKB Studioを使っているなら、Professionalシリーズ用を流用してはいけない。専用設計のタイピングベッドが別に用意されている。

理由は本体の構造にある。Studioは側面の外周にジェスチャーパッドというセンサーを備えているため、手前に厚い板を置くと操作の邪魔になってしまう。専用品はキーボードと接する面に大きなR加工が施され、この干渉を避けるように作られている。

サイズは幅302×奥行80×高さ9mmと、Professional用よりぐっと薄い。ラバーソールを貼っても10.5mmで、これはStudioの筐体形状に合わせた結果だ。数字だけ見て「低すぎる」と判断してはいけない部分である。

カラーはチョコレート、ブラック、クールグレーに加え、手が触れる面にヴィーガンレザーを張ったモデルもある。Studioのキートップの色に合わせて選べるようになっている。

Studioで私がつまずいた点

Studioはスペースバーの手前にマウスのクリックボタンが並んだ結果、スペースキーまでの距離が遠くなった。おかげで私が愛用する左手小指の付け根での打鍵が、かなりやりにくくなってしまった。

ここに厚みのあるパームレストを足すと、手のひらの位置がさらに手前へ引っ張られる。私の場合、Studioの出番がめっきり減った理由のひとつがこれだ。

パームレスト以前に、打ち方との相性を確かめてからのほうがいいと思う。

パームレストで失うものもある

ここまで選び方を語っておいて何だが、記事の公平性を保つために不都合な話もしておきたい。
パームレストは、手に入るものと引き換えに失うものがある道具だ。

一つ目は、打ち方の自由度である。
手のひらを預けると手首が固定され、指の運動だけでキーを追うことになる。ホームポジション付近は快適になるが、端のキーへ手全体を滑らせるような動きはやりにくくなる。私が付け根押しを手放せないでいるのも、結局はこの一点に尽きる。

二つ目は、デスクの奥行きだ。
奥行き80mm前後の板が手前に居座るぶん、キーボードは奥へ下がる。マウスやトラックボールとの距離も、その分だけ変わってくると考えておいたほうがいい。

三つ目は、手入れの手間である。
手のひらが常に触れる場所なので、皮脂は確実に乗る。木製は乾拭きが基本で、アルコール系のクリーナーは塗料を傷めるため使えない製品もある。

四つ目に、買い直しが起きやすい点も挙げておきたい。
高さが数mm合わないだけで使わなくなるのがこのジャンルで、数千円とはいえ二度三度と重なれば安い買い物ではなくなる。だからこそ、机と椅子を整えてから最後に買う順番を勧めている。

そして、手首の負担が気になるなら、道具を足す前に手の移動そのものを減らすという発想もある。

HHKBならキーマップの作り込みでホームポジションから手を離さずに済む。この方向を突き詰めた設定は、キーマップ変更ツールの設定を解説した記事にまとめてある。

なお、痛みやしびれが続く場合は道具の話ではない。無理をせず専門医に相談していただきたい。

HHKBのパームレストに関するよくある質問(FAQ)

Q1. パームレストとリストレストは何が違うのか?

A. 本来は乗せる部位が違い、パームは手のひら、リストは手首を指す。ただし国内の製品名では両者がほぼ同じ意味で使われており、明確な区別はない。

商品名よりも、実際の高さと奥行きの数字で判断したほうが確実だ。

Q2. 汎用のパームレストでも代用できるのか?

A. 代用は可能だが、幅と高さの条件が合うかを必ず確認してほしい。HHKBの幅は294mmなので、幅300mm前後で高さ15mmから18mm程度の製品が候補になる。

幅440mmのフルサイズ用を選ぶと大きくはみ出し、マウスの置き場を圧迫する点には注意が必要だ。

Q3. HHKBの傾き調整とパームレストは併用できるのか?

A. 併用できる。ただし角度を立てるほど本体手前の高さも変わるため、パームレストとの段差が生まれる場合がある。

角度を変えたときは、手のひらから指先までが一直線につながるかを毎回確かめるといい。

Q4. パームレストは持ち運びにも向いているのか?

A. 木製の一体型は200gから250g程度あり、HHKB本体と合わせると鞄の負担は小さくない。持ち運びを重視するなら、1個120g程度のセパレート型のほうが現実的だ。

外出先ではパームレストなしで打てるよう、両方の姿勢に慣れておくのが結局は身軽だと思う。

手首を休ませる順番を間違えない

最後に、この記事で伝えたかったことを一本の線にまとめておきたい。

手首がつらいとき、道具を買うのは最後の手順である。まず椅子と机の高さを整え、次にHHKBの傾きを変えてみる。それでも手首が浮くなら、そこではじめて段差を埋める一枚を探す。

この順番を守るだけで、無駄な出費と「買ったのに使わない」という後味の悪さはかなり避けられるはずだ。

そのうえで選ぶなら、高さは15mmから18mmの帯。
素材は、手首を固定したいなら木、汗と手入れを重視するならシリコン。
形状は、安定なら一体型、自由度ならセパレート型。

判断軸はこれで足りる。

私自身は付け根押しという厄介な癖のせいで、いまも手首を宙に浮かせたまま打っている。それが正解だと言うつもりはまったくない。むしろ同業の知人には、パームレストを敷いてから肩が楽になったという声のほうが多いくらいだ。

道具の正解は、体と癖の数だけある。

だからこそ、まずは今日の作業を終えたあとの手首に意識を向けてみてほしい。
重さが残っているかどうか。それが、貴兄にとって一枚の板が必要かどうかを決める、いちばん正直な答えになる。

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