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HHKBの掃除方法|キーキャップの外し方と手入れの注意点

突然だが、貴兄は今使っているHHKBのキーとキーの隙間を、明るいところで覗き込んだことがあるだろうか?

HHKBの掃除で最初に押さえておきたいのは、日常の手入れは表面のホコリ取りで十分だという事実である。キーキャップの外し方には作法があり、そこさえ守れば本体を傷めずに済む。

私も一度、隙間を覗き込んで青ざめたことがある。ホコリ、髪の毛、正体不明の白い粉。
3万円台の道具の内部が、実家の押し入れの奥のような有様だったのだ。

そこで慌ててやりがちなのが、いきなり全部のキーを引っこ抜いて漂白剤に沈めるという荒療治だ。
だが、これが危ない、本当に危ない。

今回は、本体を壊さず、変色させず、そして余計な出費も生まないHHKBの掃除手順を、メーカー公式の見解を踏まえながらご紹介させていただきたい。

この記事のポイント
  • 日常清掃で本当に必要な作業
  • キートップを傷めない外し方
  • 漂白や強い薬剤が危険な理由
  • 掃除の手間を減らす予防策

HHKBの掃除は表面のホコリ取りが基本

まずは結論から入らせていただこう。
貴兄が思っているほど、HHKBは頻繁に分解する必要がない。

HHKBの掃除は、日常はやわらかい乾いた布で表面のホコリを拭き取り、汚れが気になったときだけ専用工具でキートップを真上に外して清掃するのが基本だ。

この一行が、本記事で最も伝えたいことのすべてである。

頻度の目安 やること 使う道具
使うたび キートップ表面をサッと拭く やわらかい乾いた布
月に一度 隙間のホコリを取り除く ブラシ・ハンディモップ
汚れが気になったとき キートップを外して清掃 引き抜き工具・エアダスター

あくまで私の使い方における目安であって、環境によって上下すると思っていただきたい。喫煙される方やペットと暮らす方なら、この間隔はもっと短くなるだろう。

ここで気づいていただきたいのは、真ん中の段までは工具すらいらないということだ。
キーボードの掃除と聞いて多くの方が思い浮かべるのは、キーを全部引っこ抜いて洗面器に沈める、あの絵面ではないだろうか?

だが、あれは年に一度あるかないかの大イベントである。毎月あれをやろうとするから、面倒になって結局何もしなくなるのだ。

掃除を続けるコツは、頻度の高い作業ほど手抜きにしておくこと。
私は仕事を終えたときに、机を拭くついでにキートップの上を一往復させるだけにしている。

日常の手入れは乾いた布で拭くだけでいい

普段の手入れは、やわらかい乾いた布で拭く。
これだけで9割方は事足りる。

メーカーであるPFUも、キーボード表面やキートップの隙間のホコリや汚れは、やわらかい乾いた布で取り除くよう案内している。

取れにくい汚れがある場合は、OAクリーナなどを布に染み込ませてから拭く、という手順だ。

ここで絶対に守りたいのが、クリーナ液を本体に直接かけないという一点である。
液が内部に入り込めば、故障の原因になり得るからだ。

【出典】PFU『Happy Hacking Keyboard よくあるご質問/お手入れ方法は?』

ちなみに私は、以前使っていた薄型キーボードで痛い目に遭っている。

キートップの素材のせいなのか、手の脂でとにかくテカるのだ。
使うたびにアルコールシートで拭くという儀式が発生し、掃除というより「毎回の後片付け」になっていた。

あくまで私の手の脂の量による話なので、そこは割り引いて読んでいただきたい。

その点、HHKBのキートップはツルツルしすぎておらず、適度なザラザラ感がある。この質感のおかげか、私の場合は毎回拭き上げなければ気が済まないという強迫観念から解放された。

そもそも何故このキーボードにここまで入れ込んでいるのかについては、英語配列のHHKBを選び続けている理由を語り尽くした記事で存分に書かせていただいた。

深い掃除は汚れが気になったときだけでいい

キートップを外す本格的な掃除は、年に1回か2回で十分だと思う。毎月のように引っこ抜く必要はない。

理由は単純で、抜き差しという行為そのものが、キートップと軸の消耗だからだ。
キートップの内側は軸に差し込まれているだけなので、抜く回数が増えれば、それだけ嵌め合いの精度に影響が出る可能性がある。

さらに言えば、事故が起きるのは決まって「作業中」である。
工具が滑ってキートップに傷が入る、戻す位置を間違える、といった具合に。

掃除の回数を増やすということは、そのリスクを浴びる回数を増やすことに他ならない。綺麗にしたい気持ちは痛いほど分かるが、ここはグッとこらえていただきたいところだ。

分解掃除に踏み切る判断基準

私が基準にしているのは「上から見て気になるかどうか」ではなく「横から覗いて奥にゴミが見えるかどうか」だ。表面のホコリは布で取れるので、それだけならキートップを外す理由にならない。

キーの奥に何かが溜まっている、あるいは打鍵時にジャリッとした違和感が出た。そのどちらかが起きたときだけ、工具を引っ張り出せばいいと思っている。

キーキャップを外す前にそろえたい道具

ここからは、実際に手を動かす前の準備の話をさせていただこう。

道具選びを間違えると、掃除どころか傷を増やして終わる。
そうならないために、最低限そろえておきたいものを整理しておきたい。

引き抜き工具はワイヤー式を選ぶ

キートップを外す工具は、先端が針金になっているワイヤー式を選んでいただきたい。PFU自身も、市販の専用工具で先端が針金タイプのものを使うと取り外しが簡単だと案内している。

逆に避けたいのが、プラスチック製のリングタイプだ。あれは細い文字キーには掛かるが、幅の広いキーには物理的に届かない。

HHKBは左右のShiftやReturnがそれなりに幅を持っている。途中で「あ、これ掛からないやつだ」と気づいたときの徒労感は、なかなかのものである。

  • ワイヤー式引き抜き工具
    キートップの対角に針金を掛けて引き抜く。数百円から手に入る
  • エアダスター
    キートップを外した状態で、本体側のホコリを吹き飛ばす
  • やわらかい乾いた布
    普段の拭き取りと、洗ったキートップの水気取りに使う
  • 綿棒と細いブラシ
    エアダスターで飛ばしきれない隅の汚れをかき出す
  • 中性洗剤とぬるま湯
    キートップの皮脂汚れを落とす。強い薬剤は使わない

特別なものは何もない。ホームセンターと台所で完結する顔ぶれである。

純正キートップセットにも工具が付いてくる

PFUダイレクトで販売されているHHKB Professionalシリーズ用のキートップセットには、交換用キートップ一式と一緒にキートップ引き抜き工具が同梱されている。

つまり、長年使って印字が擦れてきたキートップを丸ごと新品に入れ替えるという道も残されているわけだ。

汚れと戦い続けるより、いっそ交換してしまうほうが精神衛生上よろしい場面もある。

エアダスターはキートップを外してから使う

エアダスターは、必ずキートップを外した状態で使っていただきたい。キートップを付けたまま吹くのは、実は逆効果になり得る。

PFUの公式サイトでも、キートップを装着したままエアダスターを使うと、奥の隙間にゴミを押し込んでしまうおそれがあると説明されている。取り外しが難しいキーボードの場合は、キーボードブラシを使うよう案内されている。

【出典】PFU『キーボードの正しい掃除方法とは?必要なツールや注意点もご紹介』

言われてみれば当たり前の話なのだが、私は長年これを逆にやっていた。表面から勢いよく吹き付けて、ゴミを奥へ奥へと丁寧に送り込んでいたわけである。

掃除のつもりで、埋葬していたようなものだ。

キーキャップをすべて外したHHKBのホコリをエアダスターで吹き飛ばしている様子
キートップを全部外してからエアダスターを当てる。この順番が正解だった

缶タイプのエアダスターを使う場合は、傾けて噴射すると液体が出てくることがあるので、なるべく立てたまま使いたい。

私は充電式のコードレスタイプを使っているが、缶のように残量を気にしなくていいのは精神的にラクである。

HHKBのキーキャップの外し方と洗い方

道具がそろったところで、いよいよ本題である。

ここが一番失敗しやすく、そして一番気持ちのいい工程でもある。
焦らず、一つずつ進めていこう。

対角線に工具を掛けて真上に引き抜く

キートップは、工具を対角線に掛けて真上に引き抜く。
この「真上」だけは、何があっても守っていただきたい。

PFUの案内でも、文字キーはキートップの左右に工具をしっかり押し込んで真上に引き抜くとされている。ControlやShiftのような幅の長いキーは、工具を縦にしてキー中央部の上下に押し込み、やはり真上に引き抜く。

斜めに力が掛かると、軸に無理な負荷がかかる。
静電容量無接点方式(金属接点を持たないキースイッチの構造)を採用しているHHKBにとって、この軸は心臓部そのものだ。

ワイヤー式キープラーでHHKBのキーキャップを引き抜いている瞬間
ワイヤーを対角に掛けて真上へ。斜めに引かないことだけを意識すればいい

コツというほどのものでもないが、力を入れる前に一度ワイヤーがしっかり掛かっているか確認するといい。掛かりが浅いまま引くと、スポンと外れた勢いで工具がキートップの表面を撫でていく。

全部外してしまうと、黒い軸が整列した本体が姿を現す。
この状態を初めて見たときは、なんとも言えない背徳感があった。

キーキャップを外して静電容量無接点スイッチのステムが露出したHHKB筐体を真上から見た様子
キートップを外すと現れる、黒い軸が整列した本体。ここまで来れば掃除は一気にラクになる

英語配列なら60キー、日本語配列でも69キーしかない。フルサイズのキーボードを分解した経験がある方なら、この物量の少なさに拍子抜けするはずだ。

両手の中にすっぽり納まるサイズ感を気に入って使っているのだが、掃除のときにもその恩恵を受けることになるとは思っていなかった。

戻すときに絶望しないための下準備

HHKBのキートップは、同じ横列でも形状が微妙に違う。外す前に真上から一枚写真を撮っておくだけで、戻すときの迷いがほぼ消える。私はこれをサボって、Enterまわりの高さが妙にちぐはぐな状態で数日過ごしたことがある。

なお、Enterキーの引き抜き方については取扱説明書に手順が示されているので、そちらを確認してから作業に入っていただきたい。

洗うならぬるま湯と中性洗剤で十分

外したキートップは、ぬるま湯に中性洗剤を数滴たらした中で洗うのが無難だ。皮脂汚れが相手なら、これで大概は落ちる。

やわらかい歯ブラシがあれば、内側の凹みまで届く。
ただし力任せに擦らないことだ。

ここで強調しておきたいのは、洗っていいのはキートップだけだという点である。
本体は絶対に水につけてはいけない。

本体側の掃除は、エアダスターと綿棒、そして固く絞った布での拭き取りに留める。水気を含んだものを軸の隙間に押し込むような作業は、故障を自分で招きにいく行為だ。

洗う順番にも、ちょっとしたコツがある。
私は先にキートップを洗剤に浸けてから、その待ち時間で本体側を掃除するようにしている。逆にすると、乾燥待ちの時間がまるまる無駄になるからだ。

たかが数十分の話ではあるが、こういう小さな段取りの差が、掃除を億劫にするかどうかを分けている気がする。

それと、洗面台で直接洗うのはおすすめしない。
小さなキートップが排水口へ吸い込まれていく光景は、想像するだけで胃が痛くなる。洗い桶やタッパーのような、口の閉じた容器の中で完結させるのが安全だ。

ついでに言うと、HHKB Studioのようにキースイッチごと交換できるモデルの場合は、キートップの下からさらにスイッチが顔を出す。

HHKB Studioのキーキャップを外し、ホットスワップソケットに並ぶピンク軸などのキースイッチが見える本体全景

HHKB Studioのキーキャップを全て外したところ。私の場合は様々なキースイッチを組み合わせて使用している。

私も押下圧の軽いリニアスイッチへ入れ替えるためにキートップを全部外したことがあるが、Professionalシリーズとは構造が違うので、同じ感覚で扱わないほうがいい。

キーの配置そのものを見直したくなったなら、キーマップ変更ツールの設定例をまとめた記事も合わせて読んでいただけると、掃除ついでの楽しみが一つ増えるはずだ。

完全に乾くまで本体に戻さない

洗ったキートップは、完全に乾くまで本体に戻さない。ここが最後にして最大の関門である。

キートップは、印字面を上にして伏せた状態で並べておくのがいい。裏返しにすると、内側の凹みに水が溜まって逆に乾かなくなる。

私は丸一日置くようにしている。半日で「もういいだろう」と戻したくなる気持ちは分かるが、そこで急いで得をしたことは一度もない。

戻す前には、一つひとつ内側を指で触って湿り気がないか確かめる。60個か69個の確認作業なので、コーヒーを一杯淹れてから取りかかると気が紛れるだろう。

戻し方は簡単で、軸の位置に合わせて真上から押し込むだけだ。カチッという手応えがあれば、それで完了である。

HHKBの手入れでやってはいけないこと

ここまで「やること」を書いてきたが、実はこの章のほうが大事だと思っている。
汚れを落とすことより、本体を傷めないことのほうが優先順位は上だ。

ネットで見かける荒業の中には、明確にメーカーが止めているものがある。

分解しての漂白は保証を失う

本体を分解しての漂白は、やめておいたほうがいい。
これは私の感想ではなく、メーカーがはっきり止めている行為である。

PFUは、漂白するには本体を分解する必要があり故障につながる恐れがあるとして、漂白を控えるよう呼びかけている。そして、自身で分解した時点で保証の対象外になるとも明言されている。

【出典】PFU『HHKB博士に聞く!購入前に知っておきたいHHKBの基礎~カラー編~』

3万円台の道具の保証を、白さと引き換えに差し出す。
その取引に見合うかどうかは、貴兄自身で判断していただきたい。

私なら、少しくらい色味が変わっていても、動く個体のほうを取る。
道具というものは、見た目より先に「今日も普通に動くこと」で信頼を稼いでいるものだと思うからだ。

漂白に手を出す前に知っておきたい誤算

酸素系漂白剤と日光を使う方法は、そもそも強い紫外線に長時間さらす必要がある。天気の悪い時期に短時間漬けても、思ったほど白くならなかったという報告は珍しくない。さらに、光の当たり方によって色ムラが出る可能性もある。

分解のリスクを負い、丸ごと数日を投じた挙げ句、ムラのある筐体が手元に残る。その未来も想定したうえで判断していただきたい。

白や雪の黄ばみは今のモデルではほぼ起きない

そもそもの話をさせていただこう。
現行のHHKBは、白い筐体でもほとんど黄ばまないように作られている。

PFUによれば、現在販売されているHYBRID Type-S・HYBRID・Classicの白のボディにはAES樹脂が使われている。これは旧モデルの白に使われていたABS樹脂から、さらに耐候性を高めた素材だ。

黄変するような添加剤を入れずに成形しているため、紫外線を当てても劣化しづらいとされている。
キートップに使われているPBT樹脂についても、耐久性に優れて汚れにくく、黄ばみもほとんど発生しないと説明されている。

つまり、白や雪のモデルを使っていて「なんだか黄色っぽい」と感じたなら、それは素材の変色ではなく、表面に付着した何かである可能性が高い。

だとすれば、答えは漂白ではなく拭き取りだ。

ここで手を出したくなるのが、研磨系のスポンジである。
だが、あれは汚れを溶かしているのではなく、表面ごと削り取っている道具だ。

HHKBの筐体やキートップは、ツルツルしすぎない適度なザラザラ感が持ち味だと私は思っている。その手触りが好きで使い続けているのに、削って光沢を出してしまっては本末転倒だろう。

テカリを消すつもりが、別のテカリを作る。
これほど間抜けな結末もない。

アルコールなど揮発性の高い液体も、同じ理由で慎重に扱いたい。
メーカーが案内しているのはOAクリーナを布に染み込ませる方法なので、まずはその範囲で試すのが筋というものだ。

掃除の手間そのものを減らす予防策

ここまで散々「掃除の作法」を語ってきたが、そもそも汚れなければ掃除はいらない。身も蓋もない話で恐縮だが、これが最も効率のいい結論である。

私が実践している予防策を、いくつか挙げさせていただこう。

まず一つ目は、使わないときに覆いをかぶせること。
ホコリは、使っていない時間にこそ静かに降り積もっていく。

HHKBには専用のキーボードルーフが用意されている。アクリル製の屋根をかぶせるだけの単純な道具だが、デスクに出しっぱなしにする使い方をしているなら効果は大きい。

スモークとクリヤーがあるので、墨のような濃い色の筐体にはスモーク、白や雪には透明感のあるものを選ぶと収まりがいいと思う。持ち運ぶ際にゴムバンドで固定すれば、カバンの中での誤動作対策にもなる。

なお価格や在庫は変動するので、購入前に公式サイトで最新の情報をご確認いただきたい。

二つ目は、キーボードの前で飲食しないこと。
これは耳が痛い方も多いのではないだろうか?

パンくずと液体は、ホコリとは比べ物にならない厄介さで襲いかかってくる。菓子パンを片手に原稿を書いていた過去の自分を、今なら全力で止めに行きたい。

三つ目は、作業前に手を洗うという原始的な習慣だ。
キートップの汚れの正体は、そのほとんどが手の脂と皮膚である。入り口で止めてしまえば、出口の掃除は驚くほどラクになる。

ちなみに、手の置き方が毎回決まっていると、汚れる場所も自然と決まってくる。
作業ごとの手の構え方については動画編集における手のポジションを掘り下げた記事で触れているので、興味があれば覗いてみていただきたい。

予防に一つだけ投資するなら

三つ挙げたが、続かないものを勧めても仕方がない。手洗いも飲食の我慢も、結局は意志の力に頼ることになる。

その点、覆いをかぶせるだけの対策は意志がいらない。どれか一つに絞るなら、私は物理的に蓋をするほうを選ぶ。

HHKBの掃除に関するよくある質問(FAQ)

Q1. キートップを水洗いすると印字は消えませんか?

A. HHKBのキートップにはPBT樹脂が使われており、メーカーからは耐久性に優れて汚れにくい素材だと説明されています。ぬるま湯と中性洗剤で優しく洗う範囲であれば、過度に心配する必要はないでしょう。

ただし、研磨剤入りのスポンジで強く擦ったり、揮発性の高い溶剤に浸けたりする使い方は避けてください。心配な場合は、まず目立たないキーで試してから全体に進めると安心です。

Q2. 引き抜き工具が手元にない場合はどうすればいいですか?

A. まずは購入時の箱の中をご確認ください。キートップセットなどの一部の製品には、キートップ引き抜き工具が同梱されています。

見当たらない場合は、市販の工具を用意することをおすすめします。メーカーは先端が針金タイプの工具を挙げているので、そちらを目安に選ぶとよいでしょう。爪や定規で無理に外そうとすると、キートップにも軸にも負担がかかります。

Q3. キーボードに飲み物をこぼしてしまったときはどうすればいいですか?

A. まずは接続を外して電源を切り、それ以上通電しない状態にしてください。そのうえで、乾いた布で表面の水分を取り除きます。

自分で分解して内部を乾かそうとすると、保証の対象外になる可能性があります。判断に迷う場合は、無理に操作せずメーカーのサポート窓口へ相談されることをおすすめします。

Q4. 掃除中にキートップを割ってしまった場合、1個だけ買えますか?

A. PFUダイレクトで販売されているキートップセットは一式での販売となっており、特定のキーのみの個別販売は行われていません。1個だけ交換したい場合でも、セットを購入する形になります。

逆に言えば、長年の使用で全体が汚れてきたときには、まとめて新品に入れ替えられるということでもあります。ラインアップや価格は変わる可能性があるため、購入前に公式サイトをご確認ください。

手入れしながら使い続けるという贅沢

ここまで、HHKBの掃除とキーキャップの手入れについて書かせていただいた。
最後にもう一度だけ、この記事の背骨を確認させていただきたい。

日常はホコリを拭くだけ。
深い掃除は必要なときだけ、対応した工具で真上に抜く。
そして、汚れを落とすことより本体を傷めないことを優先する。

この三つさえ守っていれば、HHKBはそう簡単に音を上げないはずだ。

そもそも、掃除できる構造であること自体が、このキーボードの美点だと思っている。キートップが真上に抜ける、汚れたら交換用のキートップが手に入る、素材は黄ばみにくいものが選ばれている。

どれも派手さはないが、長く使ううえでは効いてくる要素ばかりだ。

私がメインで使っているのは「HHKB Professional HYBRID Type-S 英語配列/白」である。
静電容量無接点方式のキースイッチに、静粛性と高速入力を両立させたType-S仕様を組み合わせた、シリーズの最上位にあたるモデルだ。

掃除という観点から見ると、このモデルの利点は「外すべきキーが60個しかない」という一点に尽きる。テンキーもファンクション列もない割り切った配列なので、全部外して洗って戻すという作業が、2時間あれば終わってしまう。

打鍵感やサイズ感が気に入って選んだ結果、メンテナンス性まで付いてきた格好だ。両手の中にすっぽり納まるサイズは、掃除の場面でも素直にありがたい。

もちろん、万人向けの製品ではない。
直販価格で3万円台後半という価格は、キーボードに払う金額としては明らかに常軌を逸しているし、方向キーが独立していない配列に馴染めない方もいるだろう。

それに、有線と無線のどちらでも使える構成である以上、電池やケーブルまわりの管理は付いて回る。手入れの手間が完全にゼロになる道具ではない、ということは正直に申し上げておきたい。

それでも、長く使うつもりで買う道具として見たとき、手入れしながら使い続けられるという性質は、価格に対する見方を少し変えてくれる。

まずは今週末あたり、乾いた布を一枚用意して、キーの隙間を明るいところで覗いてみていただきたい。

そこで何も出てこなければ、それはそれで気分がいい。
何かが出てきたなら、貴兄はもう仲間である…。

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